06.12.18 |
手術が行われたのは入院後20日でした。要は順番待ちですね、その間必要な検査をしておくのですが、ほとんど何もすることのない20日間でした。 |
手術室はBGMが流れ、記憶にある昔の手術室とはうって変わった明るい部屋でした。背中に麻酔注射を打たれたような、記憶はその辺まで。
麻酔が醒めて気がついたのはICUのベッドの上でした。
時間的には3時間ほどと聞いています。腹腔鏡では手に負えず、腹を切り開きました。
当然ながら大腸(横行結腸)と小腸の癒着部分は切り取られ、その周辺のリンパ腺が腫れていたのですべて除去という内容でした。切り取ったリンパ腺は念のため検査に出したとのこと。
大腸と小腸の癒着部分にできた貫通穴は人差し指が通るほどの大きさだったそうです。残念ながら私は見ていません。
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麻酔から醒めても頭は回転しません。担当医が何か説明していたような記憶もあります。
何か聞かれても答えるのが面倒で、適当にというか何となく返事をしていたようです。
気力が出てこないのですね。考えることはできるのですが、それを言葉にするのが面倒。更に考えを進めるのも億劫で、「うん」程度のことしか言わなかったと思います。
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ICUでは丸1日、酸素マスクをつけて過ごしました。内緒ですが、ここのICUには生まれたばかりの蚊が飛んでいました。きれいな緑色の奴です。ただし、クーラーがしっかり効いているので動きはそれほどでもありませんでした。そう、クーラーが目一杯効いていて寒かった。寝ているだけ、それもやせ細っている状態ですから寒さは常人より感じやすいのです。
丸1日特に異常なく、自分のベッドに戻ります。それも歩いて!
この頃には意識もしっかりして、元気よくスタート。しかしこいつは根性ナシで、途中で貧血を起こしてあえなくダウン。慌てて車椅子を持ってきてもらい、それに乗ってご帰還でした。
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この貧血は後々まで尾を引きます。
その後の血液検査でも鉄分不足と出たようなのですが、それ以来Feの点滴、喉から飲み込めるようになったら錠剤。
後日初めてトイレに行ったとき、驚きました。何故って、便が真っ黒なんです。手術後、それも大腸と小腸の一部を切り取った後ですから、これは何か問題が・・・・
便器の上で一瞬血の気が引きました。悪い印だったらどうしよう!
トイレからベッドに戻る途中、気が付きました、Feのせいだと。看護婦さんに聞くとその通り。何だよ、ひとこと先に教えてもらっていれば、驚かなくて済んだのに。
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口から物を摂れるようになるまでは10日ほどではなかったかと思います。はっきりとは憶えていません。想像以上に早く口から物を入れられるようになった記憶があります。
この時期にはっきり憶えているのは、尿のチューブです。
当初はベッドから起き上がれないので、尿のチューブが挿し込まれていました。口から食べられるようになった後、何日かしてこのチューブを抜きました。そうしたら尿が出ないのです。出たら看護婦さんに報告することになっていたのですが、便器の前に立っても出ません。傷が痛むので踏ん張ることはできませんので、只立って出てくるのを待つばかり。出なければあきらめて戻るだけです。
そのまま夕方の回診となり、もう一度チューブを指して様子を見ることになりました。チューブを挿すと尿はでてきました。翌日だったか翌々日だったか、もう一度抜くと今度はOKでした。思うに、原因は病ではなく脱水症状ではなかったかと。
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更に別の問題が。
出るのはいいのですが、今度は我慢ができない。チューブを入れた状態であれば、尿は垂れ流し。我慢する、放出するなどという感覚はありません。そういう過程を何日も過ごすと感覚がなくなるのでしょう。ベッドからトイレまでの僅かな距離が我慢できないのです。物理的に加圧し、抑えておかないと出てしまうのです。
参りました。本当に思うようにコントロールできるようになるまでには2・3週間かかったと思います。そして気が付くともう一つの別の問題に直面していました。
我慢ができないので頻繁にトイレに行く、用心のためのその心がけが災いしました。夜も1時間おきにトイレに行く癖がついてしまったのです。眠ってもほぼ1時間おきに目が覚め、トイレに行き、用を足ねばならなくなったのです。
目覚めてトイレへ行く途中、廊下にかかっている時計を見るのですが、間隔はほぼ1時間。こんな生活がいつまで続くのか、時計を見るたびにうんざりの毎日でした。
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入院中このくせは治りませんでした。トータルで4ヶ月入院生活を送ったのですが、手術後の3ヶ月間、毎夜1時間おきにトイレでした。
昼間はどうかというと、こちらも頻繁でした。結局担当医に相談し、泌尿器科に見てもらったのですが何も問題なし。薬を処方してもらいましたが、効き目はありませんでした(一応総合病院ですから他の科もあります。入院中の暇に任せて(失礼!)通院ならぬ通科しました)
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ただ、おかしいのは外泊、つまり病院から1・2日の外泊許可を得て自宅に帰ると、この頻尿状態は随分と良くなりました。
ある程度傷口も回復した状態になると外泊許可が出ます(その後の抗がん剤治療の期間中も同じです)。そうして家で寝ているとトイレに行く回数が少なくなりました。1時間おきが2・3時間おきぐらいになります。
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この頻尿状態はいつの間にか退院願望に結びついていたのではないかと思われます。
入院中はぐっすり寝ても1時間おきに目が醒めトイレへ行きましたが、外泊で家に帰ると頻度は落ちます。そして病院に戻るとまた元の木阿弥で、1時間おき。
退院してしばらくすると頻尿の症状はなくなってしまいました。間違いなくメンタル要素が主因ですね、他に何もないのですから。ただ不思議なのは、1時間おきの時でもちゃんと毎回量が出たということですね。
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