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病気-4 大腸と小腸が
06.11.27

内科の部屋は20人ほどの大部屋。ベットの脇は人一人が通れるくらい、天地はまったく余裕なしでカーテンがベットにかぶさるほど。つまりベットの長さほどスペースがない非常に狭いところでした。どう考えてもQOLなんてかけらもないひどく狭い枚部屋でした。

季節は8月の暑い盛り、部屋はクーラーがしっかり効いています。そこで20日間、点滴と検査しかやることのない日を過ごしました。分厚い本でも1日で読めてしまいます。
腫瘍の大きさから「切らざるを得ない」ということは知らされていました。手術のためには体力が足りなかったようで、点滴は肩に切り替えられます。腕にする点滴では量的に間に合わないとのことでした。肩からの点滴に切り替えてしまうと、腕と違って詰まることもなく、ある意味楽です。
困ったのは寒さでした。ほとんど栄養失調に近いような状態でしたから、クーラーから来る風が冷たい。普通の人なら心地よいのでしょうが、痩せた身体には寒さがこたえるわびしい毎日でした。

内科では手術ができないので当然外科へ行くことになります。一度外科に入ったはずなのに内科の病棟で外科のベットが空くのを待つ、病院のシステムによる不可思議な期間でした。
この間外科の担当医師が決まり、手術へ向けての検査がありました。衝撃的、そう本当に衝撃的な結果が出たのは腸のバリウム検査でした。
腫瘍の位置を特定するため受けたのだと思います。腸の中にバリウムを入れてレントゲン撮影をする、胃ではおなじみのものです。
結果は腫瘍の大きさや位置の特定よりもはるかに大きな問題が見つかりました。
レントゲンには大腸と一緒に小腸が写っていたのです。大腸に入れたはずのバリウムが小腸にも入ってしまったということです。

どういうことか?
外科医の説明は簡単で明快でした。大腸と小腸が癒着しており、更にその部分に穴が開いている。痛みはその穴から大腸のものが小腸へ、あるいはその逆に流れているからだろうとのこと。
確かに想像してみるだけで痛くなってきそうです。大腸と小腸の間にショートカットの穴ができるなんて。そんなことがありうるのです、現実に。病気のことよりも想像外の出来事の方に驚かされてしまいました。何でもありですね、こうなると。誰がそんなことを想像するか・・・

こうして少しずつ手術の内容が決まっていきました。
日取りは28日に決定。当初は腫瘍を取り除く、今は癒着部分を切り取り、大腸と小腸を元のようにつなぎなおすことが主になりました。
この間に外科のベッドが空き、無事外科病棟へ再移動。改めて外科病棟の案内をしてもらいました。それも同じ看護婦さん、彼女は私のことを憶えてくれていました。
蛇足ですが、場所が腸のため検査のたびに下剤を飲まされました。所詮は下痢しか出ないので無駄と思いましたが、下剤を飲むとまた出るんですね。不思議です。

さて 手術のための最終検査は、腸のバリウム検査と内視鏡を同時に行うことでした。
バリウムを入れて大腸と小腸が癒着している場所、穴の開いている場所を特定し、そこを内視鏡で覗くという内容です。このときは痛みがあるということで麻酔をかけられたような記憶があります。

これで手術の準備は整いました。
手術の何日か前、医師から手術の説明がありました。手術におけるリスクの種類、可能性の度合いなど、よく整理された内容でした。おそらくそのようなマニュアルというかフォーマットが確立されているのでしょうね。
症状が軽ければ腹腔鏡での手術で済む(ソフトバンクの王監督のように)こと、その場合は穴がいくつか開くだけで済むが、大きい場合は切る。こう話されると小さいことを祈るだけです。

ということで後は割腹を待つだけになったのですが、病名はこの時点でも特定されていません。
一応大腸がん、あるいはクローン病という説明でした。ただ大腸がんに対しては、血液検査のデータにはそのような数値は出ていないのでクローン病の可能性が高いとのこと。大腸と小腸の癒着も癌ではまずないとのことでした。内科での医師は大腸癌、それも大きさからいってかなり進んでいる可能性が高いと見ていたようです。

クローン病?名前は聞いたことがあるけど・・・ 程度の知識でした。
簡単に言えば原因不明の難病、完治は不明、術後の食事制限など、妻が調べてきてくれました。
このとき何が参ったかといえば、術後の食事制限です。これから一生あれを食べてはダメ、これを食べてはダメ、という鬱陶しいことを続けるかと思うと、手術が成功して退院したときのことを考えてもうれしくありません。
痛みがなくなり元の生活に戻れると考えても、今一明るくなれませんでした。
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